Dec 7, 2010

東京は就活本番
2010.12.7
どうも、ミッドタウンで相変わらずヒマしている僕です。

午前中は竹下通り•原宿に写真撮りに行っていましたが、今日も午後から個展の会場にいます。今日で東京滞在10日目。まるで既に単位取り終えたかのように長居しています。


12月に入り、一気に東京は就活モードみたいで、既に駅のホームにはマフラーをした就活スーツの人達を多く見かけます。ミッドタウンでもイベントがあったらしく、エレベーターの脇にも、「ユニクロインターンシップ選考会場はこちら」などという看板も立っていました。

一年前のことを思い出します。この頃は、選考面接をやっと一つ受け終わった後で、オンキャンパス•リクルーティングばかり行っていました。その頃着ていた、入学式用に持っていたスーツのサイズが少し大きかったので、すれ違う人に、「もうサラリーマンだね」って言われていましたね…。その後すぐにスーツを新調しました。

今年の就活事情はどんなでしょうか?まだこの時期は説明会に皆さん行っているのでしょうね。学内に企業が来てくれたことを考えると、東京の学生は授業の合間を縫って会社まで直接説明会にいくのだから、もうこの時期から選考が多くなる時期と変わらない位にあっちこっち行っているのかと思うと、いかに私の就活が苦労知らずだったかがわかります。


今日たまたま立ち読みした、「月刊『創』」に掲載されている雨宮処凛のコラムが、就活をテーマに綴られていました。彼女は自信の就活を「むちゃくちゃな就活」と言っており、現に作家になったきっかけが右翼団体に入ったことと書いていました笑。普段は非正規雇用をテーマに、「生きづらさ」を説く彼女ですが、就活生に対して書いた言葉は、「『仕事』に対してそんなに真剣に考えなくても良いんじゃない?若い君たちには未来が沢山あるのだから、冒険•挑戦して好きなようにやるべき」といった趣旨でした。

この雨宮が言っている言葉、それは尤もであると思います。けれど簡単に、「ハイ、実行!」ってできるもんじゃない。

就活生の大半が20歳そこそこ。未来なんて幾らでも変えられる時期だ、って今の私は言えるでしょう。でも、就活生当事者はそう言えるか?みんながみんな言えることではないと思います。今、ここで職を得ないと未来の自分が保証されない、不安でいっぱいだ。そう思うのが相場じゃないでしょうか。これからの自分次第で、どれだけ稼げるか決まる。仕事も、自分の一生を賭けるものになるから、なるたけ自分のしたいことを選んで、辞めたいと思わないような仕事に就きたい…。もちろんですよね。その思考の出発点から、どのようにして「未来の自分は可能性に満ちている」なんて思えるでしょうか?雨宮が言った正当な考えは、今の私たちに地に足つけて受け止められる言葉でしょうか。私だって、そんなに割り切って考えられませんでした。この、尤もな論が割り切って言えないことが、今抱えている就労状況野問題、ひいては日本社会全体の問題のように思えます。


これが他の国ならどうでしょう。バックパックしているときに、何処にいても本当によくイスラエル人に会いました。彼らは、男女共に兵役を終了した後、世界を旅するのが普通だそうです。「イスラエル人の商人はな、世界をその目で見てからじゃないと商売のことは語れないって言われているんだ。だから、俺らは旅をする。」と言っていました。大学卒業して、兵役を終え、一年ほど世界を放浪すると20代後半でしょうか。その頃になってやっと、彼らは社会の一員となるのだそう。また、韓国は「日本より韓国の方が就活は厳しいよ!」とよく言います。それは日本に比べ、就職先が多くないっていうことを言っているのではなく、採用の基準に違いがあるからだそうです。日本は人材の選定の際、将来性を何よりも重んじる傾向にありますが、韓国はもっと実務的で成果主義なのだそうです。選考を受ける諸君は、なりたい職に必要な技能を持っていることを、資格の取得などを以て証明し、即戦力であることが求められる。もちろん、人柄なども大切なのでしょうが、資格などを以て、その人の仕事に対する「本気さ」を見ているのだそう。


二つの国の例を挙げましたが、こんなにも仕事に対する姿勢が違うんですね。それぞれの国の社会の状況を反映した仕事観だと思います。日本の今の就活形態も同様に、社会に適応した形だと言えます。ただ、社会が持つ「ねじれ」も一緒に内包した形態故、社会に翻弄されてしまい、自分自身に立ち返ることが難しくなっているから、「自己分析」「他己分析」などなどの「テクニック」として自分を振り返る術が語られるようになっているのではないでしょうか。

また、あまり国内のデモ報道はさかんではありません。雨宮も、今の就活に疑問を持った学生がデモを行っていたが、報道はよく無かったと、コラムで述べていました。こんなことあったって知ってました?私はこれ見て初めて知りました。もし自分が就活生で、この場に居合わせたらどう思うでしょうか。「そんなことする暇あれば就活真面目にしろよ」と思うか。思うかもしれない。でも、そう思う反面、自分の中にあった小さな疑問は押し殺したままなのかもしれない。

(photo:butterflies in Lao)

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